高エネルギー水素統御システム:HEHCS

高エネルギー水素統御システム:HEHCS
Hyper-Energized Hydrogen Controlling System

美しく豊かな日本の自然の中の宝物探しを目指し
   

 
Summary

 食糧問題の根源にある「酸化と腐敗」という問題を同時に解決可能な「高エネルギー水素統御システム:HEHCS」は、日本において大量に廃棄される野菜や未利用魚などを原料として、全く新しい概念である「栄養資源」をローコストに大量に生産し、激甚災害や有事などに備えて、最小限環境負荷で輸送・備蓄保管することを可能にする唯一のイノベーティブなシステムです。

 世界的な食糧不足により、あらゆる食糧・飼料の価格が、長期間にわたり世界的に上昇していくトレンドにおいて、「HEHCS」生産物には、日本国内においてはもちろん、世界的にも極めて強い競争優位性があります。 

「HEHCS」生産物は、全く新しい概念である「栄養資源」として、2次産業である食品加工業の最上流に位置し、さまざまな食品加工製品のなかにこれを組み込んで、これまでにない全く新たな価値を生み出すことができます。したがって、わが国にあっては「高エネルギー水素統御システム:HEHCS」は、「強靱な6次産業の創発」の実現のための、真にイノベーティブなシステムであると考えられます。

 日本デジタルバイオサイエンス株式会社 JDBS Inc.は「HEHCS」の生産型実機を完成・進化させるとともに、「点を線に、線を面に」を合い言葉に、政財産官学民の、社会の幅広い個人・企業・団体との「モデル事業システム」による協働を通して「HEHCS」の広範な社会実装を速やかに実現し、日本の食物自給率の低さ、食糧廃棄・食品ロス問題、食糧安全保障問題、および世界の飢餓問題などの社会的な課題の解決に貢献してまいります。


1. 世界的な食糧不足、日本の切迫した食糧安全保障

 世界の急激な人口増加と気候変動、コロナウイルスのパンデミック、さらにはロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、世界は深刻な食糧危機を迎えている。世界の人々の10人に1人、すなわち8億1100万人が十分な食糧を持たず、5000万人が緊急レベルの飢餓に直面しているといわれている。この数字は当面、増えることはあっても減ることはない。

 また日本は、南海トラフ巨大地震などの激甚災害の脅威に常に備えなければならない自然災害大国であることに加えて、台湾有事や中ロの軍事連携の脅威が現実化しつつあり、これら有事の際には食糧の輸入自体が歴史的にみて困難になることから、カロリーベースで38%という先進国中でも際立って低い食物自給率が、ここにきて大きな問題となっている。

 食物自給率で使われる「カロリーベースで」とは「人間が生命をつなぐために最低限必要なカロリーを基準にして考えたときに」ということであり、しがたって、日本では最悪の事態には、人口の62%にあたる人々、すなわち7700万人超の人々が餓死するリスクがあるということになる。深刻さの度合いが分かる。
 
 食の問題を考えるときに、いのちをつなぐための「基礎的な食」と、味わいを楽しむ「豊かな食」の2つの領域に分けて考える。世界の「基礎的な食」は、生命維持のための「基礎的な食」だけで、現時点でおよそ800兆円の市場規模であり、それが2030年には1026兆円規模に達すると予想されている。すなわち、10年足らずの間に25%を超える成長となるものと予測されている。これを超える食糧生産量の伸びを実現することは、これまでの方法の延長線上では困難であると考えられる。
 
 世界の食糧危機、日本の食糧安全保障問題は、「基礎的な食」についての問題である。


2. 日本人が必要としている食糧と栄養素

 ここで、1億2490万人(2022年11月確定値)の日本の人口全体が必要としている食糧について考察する。

 主食として、日本人1人あたり1日に、乾燥重量にして255gの米が必要であるとされている。したがって、日本の人口全体では1日あたり約3万1900トンとなる。

 主食である米は、政府によって100万トンが常時備蓄されている。すなわち、毎年20万トンが備蓄され、備蓄開始から5年経った古い米は食用としてではなく、飼料として放出される。ただし、どこに貯蔵されているかを知る人は少ない。

 精米しても残存する米ぬかが酸化し、また黒カビなどの感染もあり、安全に食すことができるのは、家庭では1年、専用施設で2年の保管までとされている。よって安全に食すことができる政府の備蓄米は40万トンとなる。

 一方で、米の市場流通量はおよそ570万トン。

 よって、これらの合計610万トンの米のすべてを緊急時の食用に供することができたとして、それは日本の人口全体にとって必要な191日分、すなわちおよそ、6.4ヶ月分、約半年の量ということになる。

 危機管理の根本原則は「Prepare for the worst, and Hope for the best.」。

 自衛隊の救援のための出動も限定的となる最悪の事態、すなわち激甚災害と有事が同時に起こった未曾有の場合などの際の公正な配布方法の実施は現実には不可能とみるべきで、実際にはおそらくそれよりもかなり少なくなるものと考えておくべきであろう。

 米の生産は、今後さらなる減少の一途をたどると予想されるだけに、世界の食糧危機という現実からも、米の備蓄については現状のままで良いのか、再考することが必要であろう。

 わが国の基幹的農業従事者は2020年に136万3000人。これが、2005年には224万1000人、2015年には175万7000人であったことから、わが国にあっては急激な農業従事者数の減少があることが分かる。また、その平均年齢は67.7歳であり、年々高齢化が進んでいる。さらに2023年には、肥料の値上がり等により稲作農家の93.3%が赤字になる恐れがあり、2024年以降に廃業が相次ぐことが深刻に懸念されている。

 こうした農業の基盤の弱体化が本格的に顕在化しつつあるだけに、100万トンという備蓄量の見直しも含めて、米の備蓄についての新しい考え方が必要になると思われるのである。
 
 では、すでに世界的に不足が懸念されつつあるタンパク質という栄養素についてはどうであろうか。タンパク質は、生命体が正常に生命現象を営むために必須の、中核的な栄養素である。

 アミノ酸スコアが100と高く、人間にとってより自然なアミノ酸比率のタンパク質である動物性タンパク質については、わが国の肉や魚などのタンパク質源の「国産」対「輸入」比は、およそ8:5。すなわち、動物性タンパク質の自給率はおよそ61.5%、不足するのは38.5%分と考えることができる。

 したがって、日本の人口全体が必要としているのに不足するタンパク質は、およそ毎年134日分であり、激甚災害や有事などの際には、生産量・捕獲量が直ちに減少するために、より不足することは避けられない。

 一方、日本の人口全体が1日に必要とするタンパク質は、1人あたり65gとして、1日におよそ8120トンである。

 したがって、日本の人口全体が必要としているのに不足するタンパク質は、およそ毎年134日分であるから、最悪の事態に備えるためには、年間あたり109万トンのタンパク質が必要になる。たとえばこれを牛肉に換算すると、牛肉100gに含まれるタンパク質は約20gであるから、545万トン分の牛肉の備蓄保管が必要ということになる。激甚災害や有事などの際には、生産量・捕獲量が減少するために、さらなるタンパク質が必要になる。

 以上から、激甚災害や有事などの際には、仮にカロリーを摂取して当面いのちをつなぐことができたとしても、約4840万人超の人々が必要なタンパク質が摂取できず、危険な状態に陥る可能性があるということになる。

 このようにして具体的な数字に直面してみると、食糧の問題を考える際に、もはや新たな考え方が必要になっていることが分かるであろう。すなわち、必要なのはイノベーションである、ということである。

 参考までに、大豆で86・精白米で65・小麦粉で44と、アミノ酸スコアが動物性タンパク質より劣る植物性タンパク質の、日本の1年間の生産量は約5万トンである。

 政府は「食糧安全保障強化政策大綱」(令和4年12月)で大豆の生産面積を2030年までに16%増などを目標に掲げるが、いざというときに不足するタンパク質の莫大な量を考えるとき、人々のいのちを護るためには、こうした施策を実施することに加えて、抜本的な対策たり得るシンプルで強力なイノベーションが必要である、とわれわれは考える。

 国際的な食糧不足が現実のものとなりつつあるなか、世界の各国は自国民の食糧確保を最優先にする動きもまた次第に鮮明になりつつある。
 
 カナダなどのように十二分な食物自給率を誇る国からの事前輸入や緊急輸入などが重要になると考えられるが、それを検討する際にも、歴史的には有事などの際の輸入自体が現実には困難であることを忘れてはならない。また、仮に大量の食糧の緊急輸入ができたとしても、こうした莫大な量の食糧をどこにどのように備蓄保管するという問題があることを忘れてはならない。
 

3. 食糧の備蓄保管の現実

 食糧の備蓄保管については、その容積を収蔵できるだけの土地・建物や、冷蔵・冷凍のための設備、ならびに冷蔵・冷凍のための電力が必要である。これまで見た来たような、数百万トンといったレベルの備蓄を実現するとなると、莫大なコストを覚悟しなければならず、また莫大な電力を必要とすることになる。

 現状の「非常食」あるいは「保存食」は、食糧を乾燥したものである場合が多く、水分を含む場合には、レトルトや缶詰などの形態になっている。日本が備蓄保管のために必要とする莫大な量の食糧を、レトルトや缶詰にしようとすれば、当然ながらまず非常に時間がかかることが予想される。また缶詰のための缶の大量製造には、大量の金属資源と莫大な電力を必要とすることから、缶詰による大量の食糧の備蓄保管は現実的でない。したがって、もし日本が必要とする莫大な量の備蓄保管用の食糧を加工食品の形にするのであれば、食糧を乾燥することになるであろう。ただし、後述するように、大量の食糧を超長期間、最小限の環境負荷で備蓄することを可能にする食品加工技術は、従来の方法には存在しない。


4. 現実に飢餓を起こさないために

 考えられる解決方法と、その問題点を簡潔にまとめると以下のようになる。

① 捨てている食糧を、利用できるようにする。

世界では、生産した食糧の3分の1にあたる約13億トンもの食糧を廃棄している。
日本では、食べられる食品の廃棄は年間640万トン、食糧廃棄全体では年間2760万トンに及ぶともいわれる。
問題点は、大量処理が現実的ではないことと、後述する「酸化と腐敗」という根本的な課題の同時解決が現時点では困難であるために、大量の廃棄された食糧の再利用には限界があることである。

② 農業生産量や漁獲高を増やす。

問題点は、人手不足、これまでの国の政策による基盤の弱体化、市場の問題。

③ 新しい食糧資源を、清潔で理想的な環境で培養・養殖・栽培。

問題点は、安全性、心理的抵抗、コスト高。

 これらすべての解決策において、冷蔵・冷凍を必要とする備蓄は、スペースの問題と電力によるコスト高が問題となる。さらに南海トラフ巨大地震のような激甚震災や有事の際には、「停電の長期化」によって(非常電源を考慮しても)2、3日~数日という短期間のうちに食糧が劣化してしまい、食用には全く適さなくなることが懸念される。

 なぜ食糧の備蓄保管に冷蔵・冷凍を必要とするのかというと、備蓄保管すべき食糧が水分を含んでいると、常温では必ず「酸化と腐敗」が起こるので、これを少しでも遅らせる必要があるためである。

 参考までに、魚や動物の水分含有量は、当然種によって異なるが、おおむね60%から80%程度である。実際に、肉類赤身100グラムのうち、タンパク質はおよそ20%程度、魚の可食部分のタンパク質は肉類同様におよそ20%である(魚の可食部分は、魚一尾の約50%であるから、魚一尾のタンパク質はおよそ10%~20%の間となる)。また、野菜は90%程度が栄養素が溶存した状態にある水分で、残る10%に食物繊維などの栄養素が存在するとされる。

 備蓄保管すべき食糧が「水分」を含んでいるために、言い換えれば「乾燥されていない」ために、食糧をこれまでのような形で備蓄すると、巨大なスペースが必要になり、また「乾燥されていない」ために、常温では必ず「酸化と腐敗」が起こるので、莫大な電力を使用して冷蔵・冷凍することによって、これらの発生を遅らせる必要が生じることになる。

 食糧の備蓄保管に莫大な電力を必要とするということは、上述したように、南海トラフ巨大地震のような激甚災害や有事の際の数日以上続く停電によって、備蓄保管している食糧が短期間のうちに酸化・腐敗し、食用にするには危険な状態になってしまうことが懸念される。したがって、有事を想定しての事前の大量の食料の輸入とそのままの形での備蓄保管は現実的ではないと考えるべきであろう。

 万が一、懸念されている有事が勃発した場合には、有事は1年では収束せず、2年以上続く可能性も十分にあり、備蓄ができなければ、「享保」「天明」「天保」の江戸時代の三大飢饉を遙かに上回る大惨事の可能性もあることを直視すべきである。


5.「酸化と腐敗」こそが、解決すべき問題

 食糧危機の問題解決を阻む根本的な原因は、「酸化と腐敗」にある、とJDBSは考える。

「酸化と腐敗」こそが、食糧問題の根本的かつ最大の敵であるといっても過言ではないのである。

 科学的に、食糧は「酸化」することによって毒性を獲得することが分かっている。
ことに酸化した脂肪は有毒性を獲得し、疾患や死亡の原因となるとされる。
 
「腐敗」のうち、「発酵」は人間にとって有益な現象であるが、それ以外のいわゆる「腐敗」は、人間の生命維持にとって極めて危険である。 

「酸化と腐敗」を少しでも遅らせ、防ぐために、水分を含む食糧の備蓄保管にあっては、冷蔵・冷凍が必要になることは上述した。

 食糧を乾燥することにより、水分を飛ばして乾燥された形で備蓄保管すれば、冷蔵・冷凍は必ずしも必要ではなくなり、また備蓄保管のためのスペースも節約できる可能性があるが、食糧を乾燥させながら「酸化と腐敗」という根本的な問題を同時に一挙に解決する方法は、これまで存在しなかった。

「腐敗」を防ごうとすると、加熱乾燥が必要になる。加熱乾燥することにより、比較的短時間で「腐敗」の原因となる細菌や菌類を減らすことができることは大きなメリットではあるが、しかし、従来の方法の加熱乾燥では、食糧は「酸化」を免れない。 

 大量の食糧を、加熱せずに紫外線などによって細菌や菌類を除き、自然乾燥させることも不可能ではないが、乾燥までに膨大な時間がかかり、紫外線を確実にすべてに照射するための場所が膨大に必要になるため、現実的ではない。

 すなわち、食糧安全保障のために

①「酸化と腐敗」を同時に解決しながら
② 短時間で処理可能で場所を取らず
③ 大量の食糧を安全かつローコストに処理する

ことを可能にする完全な手法は、これまで存在しなかったのである。


6. 高エネルギー水素統御システム:HEHCSの誕生

 高エネルギー水素統御システム:HEHCS(Hyper-Energized Hydrogen Controlling System)は、食糧の「酸化と腐敗」という、食をめぐる諸問題の根底にある致命的な課題を同時に解決しながら、全く新しい概念である「栄養資源」を生産するものであり、「誰もがいのちをつなぐことができる、新たな『基礎的な食』の供給システム」を構築するための中核のひとつを担うべき科学技術である。

「HEHCS」は

1.「水素プラズマ等の超高エネルギー水素の活用により、酸素分子が理論上0の状態、かつ、最大1000℃の超高温の反応空間で」

2.「中核反応としては、1秒から60秒ほどの短い反応時間で」

3.「食糧を、酸化させることなく乾燥させる」

新しい科学技術である。 

「HEHCS」に接続する「前処理プロセス」をニーズに合わせて自在に構築することで、現実の社会実装を可能とする。また、この「前処理プロセス」で、病原体検査・毒物検査・重金属検査等が実施される。

「HEHCS」に接続する「後処理プロセス」においては、生産物を密閉された窒素空間システムの中でパッキングすることにより、原則として冷蔵・冷凍なしでの超長期間保存を可能にする。また、この「後処理プロセス」においては、HEHCS生産物の栄養資源の内訳の分析を行い、その結果に基づいて、ニーズに応じた最終製品のための「栄養資源の最適化ブレンド」を行うことも可能である。


7. 既存の方法の問題点

 これまでの手法は、大別すると「自然乾燥」と「人工乾燥」に分けられる。「人工乾燥」にはさまざまな種類があるが、その大多数は「熱風乾燥」に分類される。

 以下に、これまでの手法の問題点を簡潔にまとめる。

・自然乾燥   
酸化を免れない。腐敗のリスクあり。
膨大なスペースが必要。

・熱風乾燥   
酸化を免れない。
スペースを取ることが多い。
        
・過熱水蒸気  
一定の酸化を免れない。
極めてマイナーな存在であり、大量の処理に向かない。

・真空凍結乾燥 
乾燥のための条件決めが容易ではない。
魚類一尾をすりつぶしたものなど、均一でない試料の場合はさらに条件決めが複雑になる。
また反応時間が長く必要である。
コスト高である。
生産物には無数の空隙が存在するため、その中に酸素分子が残存する。これは窒素封入しても完全には置き換わらず、したがって、窒素封入して備蓄保管したとしても、冷蔵冷凍しなければやがて酸化することは免れない。
生産物の水分含有量は4%~42%と、結局は水分が酸素とともに残存するため、腐敗のリスクが厳然として残り、それを防ぐために超長期間の保存には冷凍保存が望ましいということになる。
また、無数の空隙と残存する水分から、容積・重量とも元の状態から期待されるほど大きくは変化し得ない。
莫大な量の処理には向かない。


8. 高エネルギー水素統御システム:HEHCSの優位性

・酸化  
酸素分子が理論上0%の状態で反応するために、加熱しても酸化は起こらないと考えられる。
試料中に酸素分子が存在しても、高温下で水素と反応して水分子となり、直ちにガスとなって試料から遊離する。

・腐敗  
最大1000℃の超高温での反応なので、病原性微生物やウイルスは完全に消滅するものと考えられる。
後処理プロセスで、独自の手法によって試料本体を酸化させずに一部を抜き取り、検査に回すことも可能である。

・反応条件の条件決め  
電子制御と手動による制御が可能であり、反応条件決めはシンプルである。

・スペース 
HEHCS本体と最小限の前処理プロセス、最小限の後処理プロセスで、およそ8畳一間のスペースに収まる予定である。

・処理量  
HEHCSはユニット型であり、それ自体も小ぶりな割には処理量は大きい。
並列接続などでさらに処理量を大幅に拡大し、莫大な量の処理を行うことも可能である。

・処理時間  
HEHCSはユニット型であり、処理の時相をずらして直列接続することによって、処理効率を最大化させることができる。

・備蓄保管  
酸化を伴わない強力な乾燥により容積・重量とも、輸送にも備蓄保管にも有利な、元の10%~30%程度になる。
冷蔵・冷凍は原則として不要。
したがって、海外にHEHCSのプラントを設置し、現地で栄養資源化することで、激甚災害や有事などに備えての、コストを抑えた事前輸入と備蓄保管が可能となる。
また、廃校になった学校や使用されなくなった施設などを利用しての、スペースを節約した備蓄が実現可能となる。

 以上から、食糧問題の根源にある「酸化と腐敗」という問題を同時に解決可能な「高エネルギー水素統御システム:HEHCS」は、日本において大量に廃棄される野菜や未利用魚などを原料として、全く新しい概念である「栄養資源」をローコストに大量に生産し、最小限環境負荷で輸送・備蓄保管することを可能にする唯一のイノベーティブなシステムである、ということができる。


9. 「バイオエコノミー社会」の実現に貢献するHEHCS。

 日本は、2019年から「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現する」として、経済産業省、内閣府、農林水産省等と地方自治体の協働が始まっている。  

「バイオ」は「第5次産業革命」のメインテーマのひとつであり、人類最後の産業革命となる可能性も指摘されている。2030年には、食品は言うに及ばす、建材や機械の部品などにもバイオ技術が応用されるようになると考えられている。

 日本政府は「2030年までに新たに40兆円の市場創造を目指す」としているが、いまのところ「産業化」が明確に視野に入るような、真にメジャーとなるべきイノベーティブなコンテンツが見当たらない。

 これに対して、「モデル事業システム」によって広範な社会実装を速やかに実現可能と考えられるHEHCSにおいては、「HEHCS」生産物が全く新しい概念である「栄養資源」として、2次産業である食品加工業の最上流に位置し、さまざまな食品加工製品のなかにこれを組み込んで、これまでにない全く新たな価値を生み出すことができることから、「強靱な6次産業創発のための真のイノベーション」として、バイオエコノミーの事業領域において、中核的な役割を果たしながら貢献できる可能性がある。

 特に、都道府県別食物自給率で食物自給率が100%を超える北海道、秋田県、山形県、青森県、岩手県、新潟県の6つの自治体にあっては、HEHCSをひとつの中核的イノベーションとしてこれを手にしつつ、全国に先駆けていち早く「バイオエコノミー特区」を実現することで、「強靱な6次産業創発」とともに、1次産業人口の増加、地域経済の活性化、高度に知的な職業に従事する人口の増大、また大学からの人材の大都市への流出への歯止めなどが実現するものと考えられる。 

 HEHCSはまた、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指す「ムーンショット型研究開発制度」の
 「目標5.2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な
  食料供給産業を創出(プログラムディレクターPD・千葉一裕 東京農工大学学長)」
の対象たり得るものと考えられ、大学や国立研究開発法人等との共同研究により、さらに未知の可能性を拓くことが期待される。



10. 美しく豊かな日本の自然の中の宝物探しを目指して

 日本の最大の資産は、美しく豊かな自然である、とJDBSは考えています。  

 世界的な食糧危機、切迫するわが国の食糧安全保障の危機の時代にあって、「高エネルギー水素統御システム:HEHCS」を活用することによって、この美しく豊かな日本の自然の中から、人々を飢えから救う新たな栄養資源が獲得できる可能性があります。

 HEHCSは、美しく豊かな自然を誇る日本で生まれた新しい科学技術であり、「人々がいのちをつなぐための新たな『基礎的な食』の供給システム」を構成する要素の、ひとつの基幹となるものであると考えています。

 HEHCSによって生産された「栄養資源」が、全国各地に設置されるべき「栄養資源備蓄基地」において、最小限の環境負荷で、超長期間にわたって備蓄保管されることが実現するのであれば、日本が再び高い食物自給率を取り戻すまでの間、いざという時に人々のいのちをつなぐことを可能にするでしょう。

 「栄養資源備蓄基地」に保管される「栄養資源」は、短距離であれば女性が1人で抱えて運搬可能な20kgごとの包装を予定します。

「美しく豊かな日本の自然の中の宝物探し」。

これが、高エネルギー水素統御システム:HEHCSとともにある人々の暮らしでありたいと考えています。